『かぼちゃスープ』ヘレン・クーパー
時には違うこともしてみたい、
そんな気持ちが仲良し3人組に巻き起こした大騒動

世界一おいしいかぼちゃスープを作るなかよし3人、ねことりすとあひる。いつも役目は決まってる。ねこが切り分け、りすがかきまぜ、あひるが塩で味つける。スープを飲んだら、演奏会。バグパイプを吹くねこと、バンジョーを弾くりすと、歌をうたう小さいあひる。この家じゃ、けんかなんかは起こらない。役目がちゃんと決まっているから。
ところがある朝、あひるが言った。
「ぼくが スープをかきまぜる」
3人組は大げんか。
ついにあひるは家出しちゃった。かぼちゃスープはどうなるの?
かわいくて、美しい。1999年ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品。
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ねことりすとあひる。仲良しの3人組は、森の中の古ぼけた白い家で一緒に暮らしています。何をするにも3人の役目はきちんと決まっている。それぞれがそれぞれの役目をきちんと果たして世界一おいしいかぼちゃスープを作り、音楽を奏で、そしてベッドで一緒に眠る。みんながみんな幸せ……な、はずでした。
けれどもいつも通り3人仲良く入ったベッドのなかで、小さなあひるは一人目を開き、なにやら考えごとをしている様子。そして翌朝、あひるは行動に移したのです。
「きょうは ぼくが コック長 りすの スプーンを かりちゃおう」
毎日決められた役目を果たしていたあひるでしたが、実はコック長をやってみたかったのですね。けれどもりすがすんなり譲るはずがありません。おかげで2人は大声でわめいたり叫んだり、大げんか。ついにあひるは家出してしまいます。
スープの時間になっても、あひるは戻りません。仕方なく2人でスープをつくるりすとねこ。いつもあひるが味付けしていたから、塩加減がわからなくて、しょっぱいスープのできあがり。涙がぽたぽたこぼれます。
こんなことなら、スプーンくらい貸せばよかった……。
2人は出て行った友だちがどんなに大切だったか、それに比べて「役目にこだわる」ことがどんなにちっぽけだったかを痛感するのでした。
さて、3人の暮らしはどうなるのでしょう――?
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なんといっても絵がきれい。細やかにあたたかく塗り重ねられた絵の具は奥行きを感じさせ、すみずみまで丁寧に描かれています。動物たちの豊かな表情とユーモラスな動きがまた、たまりません。とりわけ、今回のお話の鍵をにぎる「あひる」、無邪気で奔放、ちょっぴりわがままな彼の愛らしさときたら。
秩序を守って暮らしていた彼ら、ひとたびけんかをはじめたら、そのめちゃくちゃぶりもなかなかのもの。そのシーンの面白さと、いかにもおいしそうなかぼちゃスープ。それらに惹かれてか、一度読むなりわが家の長男が夢中になった1冊。最初の2週間ほどは毎日毎日「読んで!」と持ってきた1冊でありました。リズミカルな訳文も読んでいて楽しい。
読み聞かせは4歳前後からかな?
かぼちゃスープが飲みたくなるいまの季節にぜひ読みたい絵本です。
▼オススメ度
よん(母)------------------> ★★☆
ルンバ(長男/5歳0カ月)-> ★★★
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▽ ヘレン・クーパー(作) せな あいこ(訳)/アスラン書房(2002/04/30 原著“PUMPKIN SOUP”は1998英)/印刷:奥村印刷/製本:大村製本/表紙デザイン:MAN-RAY 渡邉裕二
▼関連情報
▽ ヘレン・クーパー(Helen Cooper)プロフィール:1963年、ロンドン生まれ。大人になるまで、湖水地方として知られるカンブリア州に住む。10年ほど音楽教師を務めたのち、絵本作家に転身。現在、イラストレーターであり作家である夫、娘とともにロンドンに住んでいる。1997年『The Baby Who Wouldn't Go to Bed』(邦題は『いやだ あさまで あそぶんだぃ』アスラン書房)でケイト・グリーナウェイ賞受賞。そして1999年、本書『Pumpkin Soup』で二度目のケイト・グリーナウェイ賞を受賞するという快挙を成し遂げた。公式サイトあり。

▽ケイト・グリーナウェイ賞とは:イギリスで出版された絵本のなかから、その年もっとも優れた作品の画家にたいして年に一度贈られる賞。1956年、英国図書館協会によって創設された。賞の名前は、今でも世界中で愛されている挿絵画家のケイト・グリーナウェイ(1846〜1901年)にちなんでいる。





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