『バムとケロのにちようび』島田ゆか
おおらかな犬のバムと無邪気ないたずらっ子のカエル・ケロのコンビがおくる、楽しいシリーズ第一作。
外遊びができない雨の日、バムは読書を楽しもうと、いそいそと部屋を掃除し始めます。しかし雨のふりしきる外には、大きな水たまりに飛び込むケロちゃんの姿……。ケロちゃんが散らかし放題にめちゃくちゃにした部屋を、バムがやっとの思いできれいにしたちょうどその時、ケロちゃんは泥んこのまま部屋に入ってくるのです。なぜか長靴まではきっぱなしで……!
ケロちゃんが散らかしたという部屋の中央に、やれやれとたたずむバムの姿を見たその瞬間から、世のお母さんたちはバムと自分の姿を重ねあわせずにはいられないのではないでしょうか。そしてせっかくきれいにした部屋をまた汚すケロちゃんに、自分の子どもの姿を……。ケロちゃんときたら本当にめちゃくちゃ。けれど憎めないんですよねえ。あまりに無邪気で、茶目っ気たっぷりなんですもの。
どろんこケロちゃんをつかまえて、今度こそ本当になにもかもきれいになったところで、バムとケロの2人はおやつのドーナツを作り始めます。粉をこね、型を抜いて、ぽいぽいっと揚げていく過程がつぶさに描かれて、とっても楽しそう。なにより、バムの身長と並ぶほども山もりにできあがったこんがりドーナツの、なんておいしそうなこと! このページを見るたびに、わが家の長男は「どーなつ、つくりたい〜」と唾を飲みます。
おいしいお茶とお菓子を味わいながら好きな本を読むひとときって、幸せですよね。バムは暮らしの楽しみ方をとてもよく知っています。ともすれば憂鬱になってしまう雨の日だからこそ、読むのは屋根裏から持ってきたとっておきの本にしたい。そこで、おじいちゃんが大切にしていた飛行機の本を屋根裏に取りに行くと、またひと波乱。
ようやく読書の準備が整って、お茶とお菓子を横にソファーに座り、本を開くバムとケロ。2人の満ち足りた笑顔で物語は幕を閉じます。なんて楽しい雨の日の過ごし方。
さて、全32ページのこの絵本、読むのにとっても時間がかかります。テキストはむしろ少ないくらいなのですが、これでもかというほど絵が細かいのです。2人の暮らす部屋のインテリアや、そこここに置かれた雑貨たちの可愛らしいこと。まずはそれに見とれ、そして気づくのです。おや、なんだか不思議な小さい生き物たちがいるぞ、と。
黒耳の小さな犬(ヤメピ)は、ぬいぐるみだと思ったら生きている? この作品では登場していないけれど、同シリーズの後の作品に出てくる頭に3本耳のようなものが立ったウサギみたいな生き物=おじぎちゃんも、絵や人形でそこかしこに登場。バスルームに飾られた人形は、島田ゆかさんの他の絵本の主人公、『かばんうりのガラゴ』[ >>amazon | >>bk1 ] では ? あっ、額縁の絵の中でもストーリーが進行している……!!
よくまあこれだけの遊びが盛り込めたものだと感心してしまうほど、見れば見るほど楽しい発見がいっぱい。そう、これがバムケロシリーズの最大の魅力なのです。子どものために本を開いて気づいたら親のほうがハマッていた、というのもよく聞く話。
裏表紙までちゃんと物語は続いているのでお見逃しなく。すみずみまでくまなくこの絵本を見ていたら、雨の日もあっという間に時間が過ぎてしまいそうです。
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『バムとケロのさむいあさ』でハマッて以来、わが家の長男はバムケロシリーズの大ファン。ところどころコミックのようにコマ割りされた画面構成は3歳台の彼にはむずかしいかなと思ったのですが、いらぬ心配だったようです。ケロちゃんの無邪気なふるまいが彼には楽しくてしかたない模様。長男の「細かい描き込みの絵本好き」を決定づけた記念すべき作品です。
余談ですが、バムケロシリーズは第1作〜4作まで順番に読んでいくと、たくさんの小さなストーリーが続いていることに気がついて、楽しみ倍増ですよ。
▼オススメ度
よん(母)------------------> ★★★
ルンバ(長男/3歳8カ月)-> ★★★ とにかく大好き!!
▼『バムとケロのにちようび』詳細 >>amazon >>bk1
▽島田ゆか(作)/トムズボックス(編集)/文溪堂(1994/09)
▼関連情報
▽島田ゆか(しまだ・ゆか)プロフィール:東京デザイン専門学校グラフィックデザイン科卒業。パッケージデザインなどを経て、フリーに。現在、カナダ オンタリオ州在住。公式サイトはこちら。
▽バムとケロの人形もアリ。バムは皮のぶよぶよ感がいまいちだけど、ケロちゃんはそのものという感じ!
▽島田ゆかさんインタビュー:ユウchan:読んでいる人が絵本の世界に入って行きたくなるような絵本を描いていきたい。
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Comments
オキラクイクジさん(?)、こんにちは!
山猫編集長さんのところからやってまいりました、
“本棚から幸せをはこぶ”本棚の魔女さんです。(^^)
なんだか、ご令息とおんなじ感覚のようでちょっぴりうれしかったりして。魔女さんも、「どーなつ、つくりたい〜」と思って迷わずキッチンにむかいました。そして、できあがったドーナツを手に、また絵本をひらいて。
読むのにとっても時間がかかる、素敵なステキな絵本ですよね。
Posted by: 本棚の魔女 | 2005.12.17 at 02:51