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2004.04.21

『しょうぼうじどうしゃ じぷた』渡辺茂男/山本忠敬

ちびっこだからできることがある

しょうぼうじどうしゃじぷた表紙じぷたは、ある町の消防署にいる小さな消防自動車。ジープを改造して作られました。小さなポンプも、ぷーぷーと鳴るサイレンもついていて、ちびっこでも働き者でしたが、だあれも気にかけてくれません。町の子どもたちも、ほかの消防自動車のことは大騒ぎするくせに、じぷたのことは「なあんだ、ジープをなおしたのか」なんて言うだけでした。そんなある日、隣村の山小屋で火事が起きました。署長さんは顔色を変え、じぷたにこう言ったのです。「よし、じぷただ。頼むぞ。出動だ!」
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多くの男の子たちがそうであるように、わが家の長男(3歳半)も、赤ちゃんのころから大の「働く車」好き。街で消防車や救急車、パトカーを見つけては大騒ぎ、保育園の散歩で消防署に連れて行ってもらおうものなら、消防車に乗ったきり、どんなに呼ばれても降りようとしないという有り様。

かわいくデフォルメされた車も好きですが、そういうものではそろそろ物足りない様子。リアルな車がやっぱりかっこいい。だから図鑑が大好きで、うっとりしながら眺めているのをよく見かけます。

そんな長男の心をとらえて離さない絵本が、『しょうぼうじどうしゃ じぷた』です。かれこれ40年も前に出版されたロングセラー。いつの時代も男の子は消防車が大好きなんですね。

リアルに描かれた消防車や救急車が主要登場人物(?)。車のような機械がリアルに描かれていると、それがセリフをしゃべるという擬人化になんだか違和感、もっと言えば嘘くささがあったりするものだけれど、この絵本ではその違和感がありません。まず、彼らの名前がいい。主人公はジープを改造した「じぷた」。ほかに出てくるのは、はしご車の「のっぽくん」、高圧車の「ぱんぷくん」、救急車は「いちもくさん」ときたもんです。

さらによーく見つめていると、リアルに描かれながらも、車たちに表情があるのがわかります。自分の性能を自慢するときの誇らし気な顔、集まってくる子どもたちを見つめる目、現場に急行するときの緊迫した真剣な表情、活躍がほめられたときのうれしそうな笑顔。いきいきとしたその表情に気がつくと、車たちが一気に人間のようなあたたかみを持った身近な存在に感じられるのです。

絵本に横長の版型(本の形)があって良かったと思えるほど、この本にはそれ以外の形が考えられません。だって横長だからこそ、やはり横長の車たちが画面いっぱいに大迫力で描けるのだし、彼らが現場に急行する様子もスピード感をもって描くことができるのだから。

ストーリーは「ちびっこでなければ力を発揮できない場所もある」という、子どもにはたまらない筋書き。じぷたの大活躍に心を躍らせ、自分たちだって大きい子や大人より力を発揮できることがあるんだぞ、やればできるんだ!と勇ましくもうれしい気持ちになることでしょう。

「図鑑ばかり見て絵本に興味を持ってくれない」という男の子たちに、絵本の世界への架け橋になってくれそうな本です。

▼オススメ度
よん(母)--------------> ★★★
ルンバ(長男/3歳半)-> ★★★

▼『しょうぼうじどうしゃ じぷた』詳細 >>amazon >>bk1
渡辺茂男(作)、山本忠敬(絵)/福音館書店(1963/10/01)

▼関連情報
▽同じコンビによる『とらっく とらっく とらっく』、山本忠敬さんが絵を描く『のろまなローラー』あたりも、働く車好きにはたまらなさそう。
▽山本忠敬さんインタビュー「乗り物を生き生きと描く」: YOMIURI BOOKSTAND
▽山本忠敬さん、昨年亡くなったんですね…。享年86歳だったそうです。こちらで知りました。合掌。

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Comments

いま4歳の長男がじぷたにはまっています。
私自身は存じ上げないのですが、息子はなぜかのっぽ君のファンでなりきっていて、私(父親)がじぷたで、妻がいちもくさんということに鳴っております。

じぷたみたいにながく愛される絵本に出会えるとすばらしいですね。

Posted by: くま | 2008.05.02 at 10:14

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